Les Jeux et les Hommes

各種ゲームのこと

旧SWでひたすらダンジョンに潜る。第5回

今回のセッションでファイターとシーフがレベル4に。しかし懐が寂しい。苦しいのう、苦しいのう。

そうだ、水を売ろう

今回もB2Fの探索を進めたが、見つかるのは宝石や1〜2点の魔晶石ばかり。PTの収支がかなりしょっぱいという問題が顕在化する。ベイオネット(ファイター)はジップ(シーフ)に借金をしてねんがんの金属鎧をやっと購入できたという状態。GMが報酬を渋っているのではないか疑惑がPLの間で持ち上がる。

そらそうよ、ミッション報酬から終始分岐点を計算して、それに基づいて報酬を設定してるから。

このキャンペーンは『世界樹の迷宮』を参考にしている。1つ参考にしたのはダンジョンの構成。PTが自由に戦略を立てて探索できるだけの広さと設定を作った。もう1つ参考にしたのが、序盤の金銭収支。『世界樹』をプレイしていて序盤の金銭収支の苦しさに発狂しそうだった。その気持ちをPLと分かち合いたかった。そこで、時間経過のルールを定め、探索に時間がかかりすぎると金銭的に苦しくなるように報酬を調整してみた。

この2点は結構うまくいっていると思っている。

まず、セッション中にGMの発言はかなり少ない。PLたちがどうするかを議論する時間が大半だ。面白いのが、誰かが黙り気味だと「お前はどうしたいんだよ」と発言を求められるパターンが増えてきたこと。PLがある程度当事者感を持ってダンジョンに挑めているんじゃなかろうか。

次に、今回PTから自発的に「GMから金を引き出そう」という発想が生まれたこと。今回の探索でPTは、マップの北側に小さな水道があるのを発見した。設定では巨大ダンジョンの1Fに冒険者のベースキャンプがあって、そこで生活物資が買えるようになっているが、崩落があって外界から隔離されており、食料品と飲料の価格が5倍になっている。水も食料も貴重品なのだ。そんな状況で水源を見つけたので、「水を売って稼ごう」というアイデアが出た。

ある程度GMも考えていた事態ではあったけれど、自発的にそういうアイデアが出てくるのはプレイとしてスリルがあるからだと思う。「水を売る」っていう字面はアフリカで冒険してんのかよって感じだが。


今回はいきなりフロアイミテーターとヘッドディスプレーサー(共に5レベル)に遭遇したり、たくさんのグールを目撃して撤退したりとシビアな状況が多かった。強くなってくるとSWは中だるみしやすいので、緊張感を維持できているのはいいことかな。次のフロアをどうするかも決まってきたので、GMも先が楽しみだ。

旧SWでひたすらダンジョンに潜る。第4回

がんがんマップを埋めていくフェイズ。目標はフロアマップの完成。

マップを広く作ってみた

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4回目終了時のマップ(どどんとふ)

探索率はこれで35〜40%ほど。今回は、北東部〜北部を埋めた。

何回かで1フロアを探索するつもりでマップを描いた。1セッション1マップのほうがわかりやすいが、自由度は下がる。ダンジョンの一番奥にボスがいて、それを倒せばクリアだろうと推測しやすい。今回、1セッションでクリア不能な広さのマップにしたのは、どこにボスがいるかわからない不安感を演出したかったこと、PTに進軍ルートを選んでほしかったためだ。どういうルートを取るべきか判断する場面が増えるほど、PL同士で相談することになる。相談すればするほど、PL各人の色が出やすいと思った。

今回は、前回激闘を繰り広げたホブゴブリンたちの巣を探索するところからスタート。中身を持ち去られた宝箱があり、誰が、どうして持ち去ったのかがPTは気になったようだ(前回収入がなく、今回は絶対収入がほしかったというのもある)。PTはその何者か(ゴブリン・ロードが率いる一団)を執拗に追いかけた。罠に誘い込まれているのではないかなどと思いつつも、追いついて撃破し、持ち去られた宝箱の中身(銀貨)を手に入れた。

中央部北にある水場で狂ったウンディーネに引き込まれそうにもなった。野営して翌日も探索するために水が必要だったためだ。事前に多めに水を持ってきていれば、そうした危険はなかったかもしれない。

GMとしてデザインしたかったのは、成功もあり、ミスもあり、いろんなやりようがあったと思えるようなダンジョンだった。可能性が多いほど、決定の負荷は高い。そういう余裕があるほうがゲームとしてはおもしろいのではないかと思っている。

旧SWでひたすらダンジョンに潜る。第3回

2回遊んでPLもシステムがわかってきたようなので、前回よりも歯ごたえのあるセッションを目指しました。

17ラウンドホブゴブリンと殴り合う

今回のミッションは「B2Fの地図作成」「B3Fへの階段の発見」。さっそくB2Fに降りるPTだったが、いきなり竜牙兵が4体待ち構えていた。冒険者レベル3のPTでいきなり戦い挑もうとは思わず、PTはスルーを選択。

入り組んだ迷宮を警戒しながら北西に進んだPTは、鳴子のトラップにひっかかる。周囲を調べると鳴子が複数見つかったため、先には侵入者を警戒する集団がいると推測する。結局、開き直って奥の扉に正面から突撃することに。

待ち受けていたのはホブゴブリン4体とゴブリンシャーマン2体(暗黒魔法仕様)。攻撃時の出目が振るわず、ダメージを与えられないわ、ゴブリンシャーマンが与えたダメージを回復してしまうわで戦闘が長期化、17ラウンドかかってなんとか倒す。

消耗が激しく、PTはそこで一時撤退。金銭的な収穫はなく、経験点も500点+αにとどまるなど、しょっぱい結果になった。

時間経過のルールを定めてみた

ダンジョン探索シナリオでは、罠を警戒して歩くごとに罠感知で時間が過ぎていくことが多い。

そこで本キャンペーンでは時間経過によってデメリットが生じるように追加ルールを設けた。移動を宣言するごとにおよそ30分が経過、罠感知を宣言したら30分経過、というように。警戒しすぎて冒険に時間がかかると、5倍になった食費(生活費が1日に110〜130ガメルかかる)が冒険の報酬を上回るように調整している。

世界樹の迷宮』をプレイしていて思いついたギミックだが、PLサイドである程度巻いてプレイしてくれるので時間制限のあるTRPGでは有効かも。

旧SWでひたすらダンジョンに潜る。第2回

世界樹の迷宮』は序盤の金銭収支がかなり厳しい。だからみんなにもお金のことで苦しんでほしかった。そう思って始めた『ソードワールドRPG完全版』キャンペーンのプレイノート&雑感です。

あらすじ

エストン山脈の中腹にある巨大な遺跡。PTは前回、落盤で通行の断たれた冒険者たちのベースキャンプに食料品と生活必需品を運ぶ仕事を受け、達成した。第2回はその直後から始まる。

まず遺跡についてベースキャンプの顔役の1人であるルガートという冒険者から説明を受けるPT。ベースキャンプには下の階段がいくつもあり、各々のPTが1つの階段を担当、降りた先の地図を作っていって、遺跡の全体像を明らかにしようとしている段階らしい。

説明を受けていると、突然大地震が発生する。あちこちで落盤が起こり、PTが通った道も閉ざされてしまう。どうやらベースキャンプは完全に埋もれてしまったようだ。

ルガートは今、探索に出ているPTのことが心配だと言い、手分けして捜索に行くべきだと判断。PCたちには低層を探索しているアーサーという男のPTを探すように依頼する。

なお、地震で補給ルートが断たれたため、食料品・生活必需品の相場が5倍に。「露骨に財布を削りにきた」などと言われるGM

レイノー

PCたちは遺跡B1F西部の1区画でアーサーのPTの捜索にあたる。この区画は最近見つかったもので、地図は現在アーサーたちが作成している最中だ。

PCたちは微かに残るアーサーたちの足跡をたどって迷宮の奥へと進んでいくが、突如目の前に紫色の霧のようなものが立ちはだかる。霧は濃く、中を見通すこともできず、しかもPCたちのほうに向かってくる。アルマはその霧の中ではマナも精霊力も枯れてしまっていることに気づく。気持ち悪さを感じたPTは迂回することにした。ところが調査の結果、アーサーたちの足跡が紫の霧の中を突っ切るように続いているらしいことがわかる。

それから、ソーサラーなら精神点を1点使うことで紫の霧を操作することができることが判明。アルマが霧をどかせて道を作り、先を急ぐことにした。霧の中を進んでいくと、その霧は落盤でできた大穴から上がってきていることがわかった。霧の発生源はより下層にあるようだ。

霧の中を抜け、最深部に到達したPTだったが、奇妙なものを目撃してしまう。

扉のない広間、部屋の中央にあるおびただしい血の跡。

謎の大扉、それに向かって剣を構えた戦士の石像。

散りじりになった4人の足跡。

それらを見て、PTは「大扉の向こうには石化の魔力を持つ怪物が控えていて、それに出会ったアーサーのPTはパニックに陥ってちりじりになったのでは?」と推理する。PTは広間も大扉も無視して先に進むことを選択。

その先でPTは石化したシーフを発見。それからソーサラーの女の子も発見する。彼女はアーサーのパーティーメンバーの1人だった。彼女に話を聞くと、PTの嫌な予感は当たっていた。大扉の向こうには「髪の毛が蛇の魔物」が潜んでいて、アーサーは扉を開けた瞬間石にされてしまったのだそうだ。PTはばらばらに逃げたが、シーフは追いかけてきた怪物に石にされ、1人で別の方向に逃げた神官戦士はおそらく広間でまた別の何かの犠牲になったようだった。

その一方で、ソーサラーの女の子は「紫色の霧」を知らなかった。どうやら大地震をきっかけに現れたもののようだ。いったん石像になってしまった2人の救出は諦め、PTはベースキャンプに戻ることにする。

ベースキャンプでルガートに事情を説明すると、ルガートも紫色の霧に遭遇したと言う。今までそんなものには出会ったこともなかったそうだ。彼によると、紫色の霧に触れると体内のマナ・精霊力を吸収され、精神点にダメージを受けるとのこと。

ここでミッションをクリアし、報酬1000ガメルと経験点を獲得するPT。

その後、B1Fのマップ埋めのため改めて探索しに向かうPT。めぼしい成果は魔晶石(6点)くらい。

GMのメモ

メインシナリオの終了後、PLの要望でB1Fのマップ埋めを急遽行いました。ちょっと悩んだのは経験値をあげるかどうか。

配置されているMobはモンスターレベル1〜3と低く、一度街に戻っているPTにとっては大きな危険はないと思っていました。実際、発生した戦闘にPTはほぼ一方的に勝利しています。これに経験値を出すかどうかはGMごとに判断が分かれそうですが、僕は「ベース経験値は通常の半分(500点)」ということにしました。

まず、メインシナリオと同等のベース経験値(1000点)はあげられません。B1Fの山場をPCはすでに通過しているからです。第2回のシナリオのキモは以下の3つ。

  1. 紫色の霧への対処
  2. 血痕のある広間に入るかどうか
  3. 大扉を開けるかどうか

たとえば、大扉の奥にはメデューサが待ち構えており、開けた場合はPCが石化する可能性もありました。メデューサのモンスターレベルは3であり、石化さえしなければそれほど手強い相手ではありませんが、抵抗に失敗すれば石化解除のために多額の借金が必要になったでしょう(もちろん、倒せばそれなりの報酬を与えるつもりでした)。

上記のそれぞれについてリスクとリターンのどちらを取るかはPTに任せる形であり、「アーサーのPTを探す」というミッションを達成する前にその判断を迫られるようにシナリオを作っていました。しかし、追加のマップ埋めではこうした難しい判断は一切ありません。

通常、ベース経験値はこうした悩ましい判断を乗り越えてのミッション達成(あるいはそれに相当するボスの撃破)に対して与えられるべきです。そのため、「追加のマップ埋め」に通常の半分とはいえ、経験値が発生するのは変と考えることもできるでしょう。

僕がここで経験値を与えることにしたのは、「PLが自発的に冒険を継続したい」と言ったのが直接的な理由です。時間を投じてプレイする以上、何も見返りがないというのはちょっと残酷かなと。TRPGは時間を共有して楽しむものであり、経験値はその楽しさを数字の形で記録したトロフィーと見ることもできるのではないでしょうか。結局、ゲーム的な理由ではないところで決めたわけです。

ただ、GM的にはPLがもがき苦しむ様が見れないと充実感が今ひとつなので、次回はマップ埋めもスリリングになるようにシナリオを作る予定。

旧SWでひたすらダンジョンに潜る。第1回

ソードワールドRPG完全版』のキャンペーンを始めたので、卓の備忘録としてプレイノートと雑感をまとめていこうと思います。

旧SWをやろうと思ったわけ

最近ホラー系TRPG(CoC、インセイン)を中心に遊んでいたが、ちゃんと怖いホラーシナリオを作るのは大変で困っていた。CoCはTRPGとしては有名だけど、PLは原作を読んでいるわけでもないし、ホラー小説や映画を読んでいるわけでもないから、雰囲気を伝えるのが難しい。インセインは怪談ネタが使いやすいのはいいんだけど、ゲームシステムに落とし込むのが難しいかな。すごくエッジの効いたシステムなせいで、シナリオ自作の難度は高い印象がある。

そんな中なんとなく始めた『世界樹の迷宮』がおもしろく、ダンジョンものをやりたくてしょうがなかった。PLも旧SWをやったことがないというので、かつての王道ファンタジーTRPGで原点回帰もいいかなーと思ったのがキャンペーンをやろうと思ったきっかけ。

あらすじ

オランの国、エストン山脈の中腹で全周歩いて3日はあろうかという巨大な遺跡が発見された。耳の早い冒険者たちが第2の“堕ちた都市”を制覇してやろうと出発していった。遺跡には彼らを相手に冒険のための物資を売ったり、宝を買い取る商人たちなども集まってきて、2ヶ月も経った頃には巨大な遺跡の中に冒険者のベースキャンプが形成され始めた。安定した流通を背景に、探索は大いに進むはずだったが……。

PCたちは冒険者志望の若者たち。まずはPTを組もうとエストン山脈に近い街にある冒険者の店を訪れた。店内では「件のベースキャンプへの道が落盤で閉ざされた」というニュースで持ちきりだった。店の親父は閉ざされたのとは別のルートでベースキャンプに食料や必需品を届ける仕事を請け負ってくれる冒険者を探していた。もちろん、PCたちにも声がかかる。こうして彼らの貧乏冒険記が始まるのであった。

PC

このキャンペーンのPCたち。

ベイオネット

人間・男。ファイター2、レンジャー1。

所持金に恵まれなかった貧乏ファイター&リーダー。ダンジョンマップは全部埋めたい派。宝箱も全部開けたい派。本PTの貧乏くじ担当な感あり。魔法戦士になりたいらしい。

ジップ・ハック

グラスランナー・男。シーフ2、レンジャー1、バード1。

慎重な性格だがサイコロの女神に見放され気味で、お祈り展開になりがち。危険は徹底的に避け、GMの陰謀を回避するのに命を懸けている。

アルマ

ハーフエルフ・女。シャーマン1、ソーサラー1、セージ1。

エルフ生まれのハーフエルフ。差別されて育ったので卑屈な性格らしい。シャーマン+ソーサラーというロマンを追いかけたいが、経験値テーブルと消費MPの多さに悩まされている。グラブルをしながらセッションに参加しているので口数が少ない。

クリティカ

人間・男。ファイター2、プリースト(チャ・ザ)1。

初心者枠+豪運枠。能力値ボーナスがほとんど3、プレイ中のサイの目も平均9くらいというリアルラックに恵まれた男。TRPGは初体験ながらモンスターを殴るのをエンジョイしてるっぽい。やっぱりファンタジーは初心者を引き込みやすい気がする。

レイノー

問題のベースキャンプに向かうべく、遺跡の西側の一角から内部に侵入するPT。迷路のように折れ曲がった通路を進むと、鳴子を発見する。どうやら何者かが住んでいるようだ。怪しんで進路を変えるPT。

進んだ先では、罠なのかなんなのか、細い糸が通路に張られていて、糸は1つの扉の先につながっているようだった。どう進むにせよ、ここに誰かが住んでいて、侵入者に備えているのは間違いなさそうだ。警戒を強めるPT。

糸をたどって先に進むPTは、落盤でできた大穴を発見。穴は地下に続いているようだったが、とてもではないが降りていける深さではなかった。道なりに進んだPTは山賊の一団に遭遇。10人の山賊が押し寄せるが、アルマのスリープクラウドでまとめて眠らせて事なきを得る。

その後、無事ベースキャンプに到着し、物資を届けてシナリオクリア。800ガメルの報酬と経験点を獲得。

次回に続く。

GMのメモ

今までダンジョンマップを描くときは、現実の建物を参考にしてリアルなものを作るようにしていたのだけど、今回はそれをすっぱり放棄して小学生の迷路みたいなのを描きました。曲がり角や分岐が多ければ多いほど、PTが取れる行動の組み合わせが広がるからね。PLの感想を聞くと、くねくね折れ曲がるマップは死角が多くていやらしく感じるとのこと。次回もこの路線でいくことが決定する。

PLをやっているときにシナリオをおもしろいと個人的に感じるポイントは以下の3点。

  1. いろんな想像ができる
  2. 多少失敗してもリカバリーして別の挑戦ができる
  3. シナリオの謎をPL視点で解ける

ファンタジーTRPGだと、この3つをちょうどいい塩梅で取り揃えやすい印象。

ホラーTRPGの場合、シナリオを自作してこれらを全部満たすのはかなり大変。特に2番目は緊張感を削ぎやすい反面、即死シナリオだと理不尽要素が濃い。ゾンビアタックOKにすると緊張感も何もないし、即死で試合終了だと理不尽なだけという。CoCはその辺をあまりカバーしていないのでシナリオ作成が難しく感じるかな。インセインでは『デッドループ』を導入すると、PCの死亡もシナリオに組み込んで遊べそうではある。